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Introduction

Project Sprint は、プロジェクトチームが小さな成果を確実に繰り返し生み出すことを通じて、変化しやすい環境に適応しながら価値の創出を目指すためのフレームワークです。
この「はじめに」では、Project Sprint の目的と構成を説明した上で、重要な用語と概念を定義します。

Project Sprint の提案

Project Sprint は、プロジェクトの捉え方と取り組み方を提案し、その中で推奨される振る舞いや価値観について説明します。プロジェクトチームが最終的な成果を実現するためにどのようにプロジェクトを推進し変容させていくのかが記述されています。
Project Sprint は多様なプロジェクトに汎用的に適用できるように考案されています。ただし、「重要な前提と用語」のセクションで述べる通り、Project Sprint では従来とは異なるプロジェクトの捉え方が採用されています。そのため、Project Sprint を実際のプロジェクトに適用するかどうかは、プロジェクトをどのようなものとして取り組みたいかに関する個々のプロジェクトチームの意思に委ねられています。

Project Sprint の構成

Project Sprint は、さまざまなプロジェクトに取り組む中で得られた経験や知恵を集め、それらに共通する重要なコンセプトを抽出することで形作られてきましたし、今後も新たな実践知を取り込みながら進化を続けていくことでしょう。
実際のプロジェクトにおける実践から生まれた具体的な方法を、より抽象度が高く汎用性のあるかたちで言語化し、個別性の高い個々のプロジェクトに応用できるようにしたものが、Project Sprint のFrameworkです。
当然ながら個々のプロジェクトは、構成要素も置かれた環境もそれぞれ千差万別なものです。詳細な運営方法はプロジェクトごとに最適解が異なっており、何が最適かを判断するのはプロジェクトの主体となるプロジェクトチーム自身です。したがって、Project Sprint をプロジェクトの運営に関する詳細な手順書として参照するのではなく、プロジェクトに取り組むに当たってのものごとの捉え方・考え方や推奨される振る舞い、何に価値を置くとよいかの指針を記述したものとして、ぜひ活用してください。

重要な前提と用語

Project Sprint におけるプロジェクトの捉え方

Project Sprint におけるプロジェクトの捉え方は、一般的な組織や経営におけるプロジェクトの捉え方とは異なっています。
  • 一般的なプロジェクト:まず「プロジェクト」という固定的な箱ありき。外部から所与の条件としてプロジェクトの定義が与えられ、プロジェクトチームはあくまでその条件を満たすために活動するものと捉える。
  • Project Sprint におけるプロジェクト:まず「プロジェクトチーム」という自由な主体ありき。プロジェクトチームは、プロジェクトの実行主体としてプロジェクトを構想し定義しつづけていく責任と、外部に対する説明責任を負う。
Project Sprint におけるプロジェクトは、単体で自己完結するものではなく、プロジェクトの外側の世界に何らかの価値を提供するために行われるものです。そのため、プロジェクトチームは常にプロジェクトの外部に目を向け、自分たちが提供したい価値がどのようなものであるべきか、自分たちが生み出した価値を外部の世界と結合させることで世界をどうよりよくしたいのかを意識しておかなくてはなりません。
一般的な、外部からの規定にプロジェクトチーム側が合わせるというプロジェクトの捉え方にも、もちろんメリットはあります。中でも重要なのは、最終的な成果物がはじめから明確で、全員が共通の認識を持つことができるので、その実現に向けた行程も自然と予測可能性が高く決定しやすいものになることでしょう。
それに比べると、Project Sprint におけるプロジェクトは、主体であるプロジェクトチームの自己決定による自由度が高い分、未来の不確実性も高く、メンバー全員の認識を完全に一致させることが難しくなります。また、プロジェクトチームが負う責任も大きくなり、プロジェクトチームはステークホルダーの要求を把握するための調整を自ら行わなくてはなりません。外部からの制約を考慮しつつ自らプロジェクトを規定できるからこそ、プロジェクトチームは自分たちが今何に取り組んでおり何を実現したいのかを問い直しつづけ外部へ説明しつづける責任を追うことになるのです。
どちらの捉え方を選ぶかは、プロジェクトの性質やプロジェクトチームの意思次第です。Project Sprint が紹介する価値観が、より多くのプロジェクトを自由で創造的なものにすることを願っています。

用語集

Project Sprint におけるプロジェクトは、プロジェクトチームの出力によって成果が生み出され、その成果が外部に提供できる価値となることにより達成されます。以下の用語は、Project Sprint の前提を理解し、全体の記述をスムーズに読み進めるために定義したものです。
  • プロジェクト プロジェクトチームが外部に何らかの価値を提供するために実行する活動。プロジェクトチームは、プロジェクトの実行主体としてプロジェクトを構想し定義しつづけていく責任と、外部のステークホルダーに対する説明責任を負う。
  • 価値 プロジェクトチームによる成果が、プロジェクトの外部に存在するステークホルダーにとって意味や有用性のあるものとして提供できる状態になったもの。価値の有無や軽重は最終的にステークホルダーの認識に委ねられるため、プロジェクトチームが認識する価値はあくまで仮説的なものである。
  • 成果 プロジェクトやプロジェクト内の一定のフェーズでプロジェクトチームが達成を目指し、最終的に生み出すもの。プロジェクトが最終的にステークホルダーに対して何らかの価値提供を目指すことを念頭に置いて、プロジェクトチームによって設定される。
  • 出力 チームメンバーが自律的・自己完結的に行動して作成物を生成すること。
  • 成果物 プロジェクトやプロジェクト内の一定のフェーズを完了するために必要な作成物。プロジェクトチームにより成果の実現に資すると認識されうるものでなければならない。
  • 作成物 チームメンバーによって生み出され、チームに対して共有されて他のチームメンバーが意見を述べたり助言をしたりといったリアクションを取ることが可能な、かたちあるもの。
  • 実験 目指すべき成果の仮説を立て、その成果を実現すべく実際に作成物を生み出してみること。創造性豊かな小さなチャレンジを重ねるアプローチでもあるし、複雑な問題を素早く小さく解決していくアプローチでもある。
  • 定例会議 定期的・反復的にチームメンバー全員で行われるミーティング。作成物を生み出すことではなく意思決定を行うことを目的とする。チームメンバーが個々の活動の結果を持ち寄り、次の活動を自己決定する前提を得るための場として機能する。
最終更新 29d ago