チームメンバーを知り、ロールを設定する

チームメンバーを知り、ロールを設定することは、プロジェクトスプリントにおける「チームとしての活動」にあたります。各チームメンバーの責任・役割・期待値を共有することで、自分の責任・役割・期待値が明確になり、「個人の活動」において自律的な行動が取れるようになります。

チームとしての活動の「理想の状態」の条件のひとつは、「チームメンバー各々の各自の責任・役割・期待値が共有されており、各メンバーの認識に齟齬がない」ということです。言い換えると、あるチームメンバーが「あの人はこれをやってくれるだろう」と考えたとき、そのチームメンバーも「これは私がやるべきことだ」と考えている状態(期待値の一致)です。

また、個人の活動における「理想の状態」の条件のひとつに、「チームにおける自分の責任・役割・期待値に納得感が持てており、自分がチームのために何をすべきかを自律的に判断し実際に行動できている」ことが挙げられます。つまり、自分に担うことができる役割であれば、何であれ必要に応じていつでも担おうとするマインドセットがあること (自発的な役割の引き受け)です。

Project Sprintでは、プロセスでの期待値の共有とロールの設定によって、これらを実現します。

チームとしての活動の「理想の状態」には、明確な到達点がありません。なぜなら「ここまで達成したら理想のチームだ!」というものが決めにくいからです。そこでプロジェクトスプリントでは、常に「チームが今の時点より良い状態になること」を目指します。

チームメンバーの基本情報

より良いチームを目指す前提となるのが、チームメンバーに関する理解です。例えば、プロジェクトに関わるメンバーに次のことを確認しておきましょう。

  • あなたの名前はなんですか?普段はどのような組織や会社に所属している人ですか?

  • あなたはどのような人ですか?例えばスキルセットはどのようなものがありますか?これまでにどのような仕事にかかわってきましたか?

  • あなたがこのプロジェクトに対して貢献を期待されていることはなんですか?

  • あなたはプロジェクトに対する専任メンバーですか、兼任メンバーですか?いずれにせよ、あなたがこのプロジェクトに割ける時間はどのくらいですか?

こうしたことをプロジェクトの最初に知っておくことは、続くロールの設定における助けになります。

ロールの共有

Project Sprintでは、チームメンバー個々人の役割のことをロールと呼びます。ロールとチームメンバーは必ずしも一対一の関係である必要はありません。つまり、一人の人が複数のロールを担うこともありますし、またあるロールを複数の人が担うこともできます。

また、設定するロールの個数には制限がありませんし、「必ず設定すべきロール」というものもありません。ロールの定義に関しても、必要なのはチームメンバーで合意することのみです。プロジェクトの性質に応じて、必要な役割分担をチームメンバーで議論し、ロールとして明文化しましょう。

ロールシートの利用

ロールとチームメンバーは一対一の関係になるとは限らず、またロールの種類も決まったものはない一方、決まったロールはきちんと明文化して合意する必要があります。

そのため、「いまのロールの状況」を明文化して参照できる状態にしておくための「ロールシート」を利用することをおすすめします。

ロールシートには、例えば次のような要素を盛り込みます。

  • ロール名

  • ロールが果たす責任(どういう目的でそのロールが必要とされ、何を果たすロールなのか)

  • そのロールを担う人

これらを一つのドキュメントとしてまとめ、常に最新のものに更新しておくことで、いまの各メンバーに対する期待値を把握することや、期待とズレがあった場合の議論が可能になります。

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