プロジェクトライフサイクル

プロジェクトライフサイクルとは、プロジェクトが構想されてから完了に至るまでにプロジェクトチームが辿る一連のフェーズのことを指します。

Project Sprintにおいては、プロジェクトライフサイクルは構想期、形成期、自律準備期、自律推進期、結合期の5つのフェーズから成ると捉えます。プロジェクトチームが現在どのフェーズにあるのかによって、取るべき行動や達成すべき状態は異なります。そのため、このプロジェクトライフサイクルを理解し意識することによって、プロジェクトを効率よく進めることが可能になります。

構想期

プロジェクトの発案者が抱いた希望を叶えるためのツールとして、プロジェクトを立ち上げようとするフェーズ。

行動

  • 発案者の希望を明確化する。

  • プロジェクト立ち上げの理由や目的、目指すべき理想の状態を整理する。

  • プロジェクトがどのようなものになるべきかの仮説を立てる。

  • 仮説に従って最適なチームメンバーを決定し、プロジェクトチームを組成する。

達成したい状態

  • 発案者の希望や要望が把握できている。

  • プロジェクトに関する情報が整理されている。

  • プロジェクトチームが現時点において最適なメンバー構成になっている。

形成期

構想期で組成されたプロジェクトチームが主体となり、プロジェクトが達成を目指す成果を一旦明確にするフェーズ。

行動

  • プロジェクトチームの環境に対する認識を揃え、意思を反映してプロジェクトゴールを設定する。

  • 設定されたプロジェクトゴールを達成するために必要なリソースを把握する。

達成したい状態

  • プロジェクトの目的や価値が明確になっている。

  • プロジェクトチームとしてプロジェクトゴールに合意・納得し、認識が揃っている。

  • プロジェクトゴールを達成するために何が必要かが明確になっている。

  • プロジェクトチームのメンバーが確定している。

自律準備期

プロジェクトを自律的に推進するために必要な境界をつくり環境を整えるフェーズ。

行動

  • プロジェクトゴールを分解して漸進的に達成するための中間成果を設定する。

  • 中間成果を達成するために必要な要素を整理し、それぞれの要素において自律的に行動できるようなトラック分けと会議体の設計を行う。

  • プロジェクトの進め方を改善しつづけられるよう、継続的改善アプローチを導入する。

達成したい状態

  • トラックが複数設定され、それぞれで定例ミーティングが運用されている。

  • トラックは相互依存関係ができるだけ少なくなるよう設定されている。

  • 定例ミーティングの方法やアジェンダのテンプレートなどが準備されプロジェクトチーム全体で共有されている。

自律推進期

自律的に行動を重ねて漸進的に成果を生み出し、認識合わせと再定義を繰り返すことでプロジェクトの進化に適応しつづけるフェーズ。

行動

  • 定例ミーティングを軸とした隔週~3か月程度の小さなサイクルを反復継続する。

  • 作成物に取り組むことで生まれたひらめきや違和感を持ち寄って認識を合わせる。

  • 認識を合わせた上でチームとして意思決定を行い、それを前提に各メンバーが自律的に次のアクションに向かう。

達成したい状態

  • プロジェクトに関する情報の透明性が高い。

  • 定期的にプロジェクト全体やトラックごとの認識合わせが行われている。

  • 各トラックのマイルストーンが可視化され、状況に応じて更新されている。

  • それぞれのトラックで、定期的な成果物の出力と継続的改善アプローチによる最適化が行われている。

結合期

全体ゴールを見据えつつ、プロジェクトゴールに向けてプロジェクトの成果をまとめるフェーズ。

行動

  • プロジェクト完了の定義を決定する。

  • 完了の定義に向かってプロジェクトを収束させていく、または次のプロジェクトへの継承を進める。

  • 全体ゴールに対する部分ゴールの達成として出力できる形でプロジェクトの成果を整え、外部に示せるようにする。

達成したい状態

  • 漸進的に全体ゴールを達成するためになにが求められるかを把握できている。

  • プロジェクトが集約され、誰かのリードを中心に進むようになる。

各サイクルにおけるProject Sprintの価値

Project Sprintの基本メカニズムが最もその効力を発揮するのは、プロジェクトチームが自律推進期にあるときです。定例ミーティングによる認識合わせと意思決定を経て、各メンバーが自律的に次の行動に向かっていくというサイクルの繰り返しが、プロジェクトチームを漸進的・安定的にプロジェクトゴールに向かわせるからです。 しかし、プロジェクトゴールやマイルストーン、トラックなどを設定し、プロジェクトの骨組みを作り軌道に乗せていく形成期や自律準備期においても、その段階におけるプロジェクトやそれを取り巻く環境の不確実性の高さゆえに、定例ミーティングで都度環境に対する認識を揃えプロジェクトを再定義するというProject Sprintのメカニズムは、高い効果を発揮します。 また、Project Sprintは、自律準備期をできるだけ短縮し、スムーズに自律推進期に入れるような考え方や仕組みを提供します。

最終更新

Logo

CC-BY-SA-4.0 license