Essentials

このドキュメントは、プロジェクトスプリントのコアとなる重要概念について説明されています。

プロジェクトスプリントの原理

プロジェクトスプリントでは、プロジェクトにおける現象を次の3つのドメインに分けて考えます。

  1. プログレス : プロジェクトの進捗のための個々人の活動(プログレス・アクティビティ)および、プロジェクトで定められたゴールを達成しているかどうかを示す進捗状態 (プログレス・ステータス)

  2. チーミング : チームの形成のための個々人の活動(チーミング・アクティビティ)および、理想的なチームが形成されているかどうかを示す状態(チーミング・ステータス)

  3. プロセス : それぞれの活動の実行と最適化を促進するために、全メンバーが同期する仕組み。

プログレスとチーミングのアクティビティとプロセスを定期的・反復的に繰り返すことで、プログレスとチーミングのステータスが理想の状態に近づくことができます。

プロジェクトスプリント概念図

ステータス

プロジェクトは、プログレスとチーミングのステータスを理想的な状態に近づけることを目的としています。

プロジェクトチームは、プログレス・ステータスをプロジェクトのゴールの達成に近づけることを目的としています。これは、現在いる地点から理想とするプロジェクトの最終到達地点に向かってイテレーティブかつインクリメンタルに成果物をデリバリーするということです。つまり、一定の期間で区切って進捗や全体像、取るべき道筋を見直しながら、段階的に成果物を作り上げていくのです。未来における特定の地点をマイルストーンと呼び明示化することで、最終到達地点に向かう道筋の確からしさを確認することができるようになります。

プログレス・ステータスは、マイルストーンをクリアしたかどうかによって把握されます。

達成されるべきプロジェクトゴールは、最初は、一人もしくは複数名の意思によって何かの期待をもって設定されます。しかし、これは確定されたものではなく、プロジェクトが進行していく中で常に書き換えられ、進化しうるものです。ただし、プロジェクトゴールは、マイルストーンを規定または修正することができる程度の具体性を持っている必要があります。

プロジェクトチームは、チーミング・ステータスを、理想的なチームの形成に近づけることを目的としています。これは、現在のあるチームの状況から理想とするチームのあり方に向かって予測不可能・不連続ながらも成長していくということです。チームメンバー間のコンテクストが明示的・暗黙的に共有されていくことで、お互いに対する期待に確信を持つことができるようになります。

理想的なチームとは、プロジェクトメンバーが互いの責任を明確に理解したり、互いに対する期待値がそろうことで自律的に活動できるチームです。自律的とは、ある事柄に対して、自分がチームのために何をすべきか各人が判断でき、かつ実際に行動できる状態のことを指します。

チーミング・ステータスは、チームメンバー全員で行う定期的なロール確認によって把握されます。

アクティビティ

プロジェクトにおいて、個々人が行う活動は以下の二つに分けられます。

プログレス・アクティビティとは、プロジェクトの進捗のため、個々人が自身に割り当てられた作業(タスク)を完遂することで、作業結果(アウトプット)が生まれます。アウトプットは、目に見える有形物です。

チーミング・アクティビティとは、プロジェクトを過ごす中で、個々人それぞれがプロジェクトやチームに対して考えを持つようになったり、想起したりすることで、この中から、他のメンバーに伝えたい違和感(テンション)が生まれます。テンションは、具体的には、メンバー一人一人が思う「こうしたらもっとより良くなるのに」という現状とよりよい状態の間のギャップ、ちょっとしたアイデア・気になること・不安などのことを指します。

プロセス

プロセスは、個々人のアクティビティをプロジェクト全体の成果に反映させるためのプロジェクトスプリント特有の仕組みです。

アクティビティとプロセスを定期的・反復的に繰り返すことによって、プログレスステータス・チーミングステータスが理想的なものになっていきます。プロセスそのものには理想的なステータスはないが、二つのステータスを理想に近づけるために最も効率的・効果的なかたちに最適化されていきます。

プロセスは、ミーティングとアジェンダという2つの構成要素を持ちます。

ミーティングとは、チームメンバー全員が空間や時間を共有する機会のことです。

アジェンダとは、ミーティングで議論されるアジェンダアイテムの集合を指します。アジェンダアイテムは、個々人のアクティビティの結果(アウトプットとテンション)が、チームメンバーと共有されるために明文化されたものです。ある成果やテンションは、アジェンダアイテムとなってはじめて、チームメンバー全員から明示的に認識されることが可能になります。

ミーティングの場でチームメンバーが全員でアジェンダを議論することで、個々人中にとどまっている情報を一斉に同期することができます。

最終的に、プロセスは次の結果をもたらします。

  • プログレスドメインにおける、プロジェクトのゴールを達成するための実行と最適化のタスク

  • チーミングドメインにおける、理想的なチームを形成するための実行と最適化のタスク

  • プロセスドメインにおける、仕組み自体を改善するための実行と最適化のタスク

ロール

プロジェクトスプリントにおいて個々人が担う役割のことをロールと呼びます。それぞれのロールは、複数人によって担うことも可能です。なお、プロジェクトスプリントの導入と実践は各チームメンバー全員が率先して行うことが期待されます。

最終更新

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